【穏田神社×金沢美術工芸大学】
良縁守「くくる」制作ストーリー
金沢美術工芸大学と共同で石川県の伝統工芸技術を用いた“良縁守「くくる」”を奉製しました。
令和7年1月1日(水)より穏田神社にて頒布を開始。
九谷焼と真田紐を組み合わせたこちらのお守りは、売上の一部を能登半島地震の復興義援金として寄付いたします。
▼良縁守「くくる」の詳細はこちらの記事をご覧ください。
▼制作した学生2名と指導された先生のインタビュー記事はこちら。
12月は当社のHPやSNSで良縁守「くくる」制作の裏側を随時公開し、このプロジェクトに携わってくださった方たちの思いを届けていきます。
今回は、お守り制作の最終選考に向けて、金沢美術工芸大学工芸科の学生の皆さんと先生が当社に調査にいらした時の様子をレポートします。
まずはじめに、このプロジェクトは今年元日に発生した能登半島地震をきっかけに、何か長期的な支援ができないかと考え、4月に金沢クラフトビジネス機構に相談したことがきっかけで始まりました。
当社の手水石は加賀藩前田家から譲り受けたものであり、石川県と縁があります。そして神社も石川県の工芸技術も、伝統をつなぐものとして抗えない大きな力によって打撃を受け、それらをつなぎ発展していくことがどれほど大変なことであるかを自分なりに実感していました。だからこそ、途絶えてしまう前に未来に繋げる必要がある。それは、命のバトンをつなぐことでもあります。
当社のような街の小さな神社だからこそ今回の地震は決して他人事とは思えなかった。
そこで、石川県の伝統工芸技術を用いて、工房や職人さんたちに長期的なエールを送り、これからの日本の工芸を担う金沢美術工芸大学工芸科の学生の皆さんと未来に繋げる活動がしたいと思い、このプロジェクトを始めることにしました。
そして、6月、ついに金沢美術工芸大学に赴きました。工芸科の学生の皆さんに宮司から直接今回の企画趣旨を説明。
1次選考には15名の学生が応募してくれました。
テーマの理解度や表現したいことなど一人一人のデザイン案と真剣に向き合い、厳選な選考により1次選考で4名まで選出。
この4名に実際に当社に来ていただき、当社や周辺地域の雰囲気などを感じてデザインに反映してもらいました。
8月3日、暑さもますます厳しくなりはじめた8月の午前中、金沢美術工芸大学の学生4名と工芸科の先生1名が来社。
まずは社殿にてお祓いを受けていただき、当社を参拝いただきました。
その後社務所にて当社の由緒や、かつて「穏田(おんでん)」と呼ばれていたこの原宿の地の歴史などを説明。
当社すぐ近くにあるクラフトコーラの「伊良コーラ」を召し上がっていただきました。今の原宿の姿とはまるで異なる江戸時代からの変貌に、学生の皆さまも興味津々!
原宿という街自体が常に文化を生み出し続け、夢を持って挑戦し続ける街。
変わり続ける街の中で、どんな人でもどんな文化でも受け入れる、どこかぼくとつとした懐かしさのあるのがこの街らしさなのかなと思います。
その街の中心にある穏田神社は変わらずそこにあり続ける。変わり続ける街に変わらないでいることは、世の中に合わせて変わらないものを守りながら変わり続けることも必要なことです。
説明後は、実際に境内に出て今回のお守り制作のきっかけになった当社の手水舎の手水石をご案内しました。
この手水石は、現在の神宮前交差点(現在のハラカド付近)にあった広島藩浅野家の邸内社としてあった熊野神社を明治時代に当社が合祀した際に、熊野神社を所有していた浅野家が加賀藩前田家から譲り受けたこの手水石を当社に移築しました。
Photo by Chie Ando
3面に刻まれた前田家の梅の御紋はこの手水石が前田家から譲り受けたことを表すものです。ちなみに当社社殿両脇にある紅梅白梅もこの梅の御紋にちなんで植樹したと聞いています。
ほかにも鳥居や社殿、宮神輿など境内をご案内。
思い思いに質問したり写真を撮ったり、木々のざわめきに耳を傾けていました。
学生の皆さんは、渋谷駅の雑踏からこの境内に入ってくるとその静けさと涼しさに驚かれたよう。
大きな銀杏やケヤキの木が木陰をつくり、参道から境内に吹き抜ける風に、真夏にもかかわらず心も体も涼しさを感じます。
あっという間に時間はすぎ、4名の学生はそれぞれこの時に感じた当社の印象をお守りのデザインに落とし込み、8月19日、金沢美術工芸大学にて最終選考を行いました。
厳選なる審査の結果、同大学工芸科陶磁専攻4年生の佐藤りりかさん、染織専攻2年生の長縄花怜さんにデザインを依頼することに。
穏田神社という神社のこと、そして神社のお守りというものはどんなものなのかを今一度調べ落とし込み、原宿の街と神社のあゆみを感じさせるデザインであること。
そして、体験型のお守りとして、参拝者の皆さまにこのお守りを授かる際に願いをこめて自分自身と向き合うことの大切さや石川県や能登地方のことを思い出すきっかけになってほしいという思いを見事に表現してくれました。
次の記事ではいよいよ制作本番に入り、「くくる」を制作していただいた九谷焼の窯元「宮吉製陶」さまと、真田紐の工房「織元『すみや』」さまに見学に伺った際の様子をレポートします!
Photo by Chie Ando
来年、令和7年1月1日(水)元日より頒布開始の良縁守「くくる」、ぜひお手に取ってご覧ください!