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【令和4年新年度企画】新しい季節にいい気が巡るゆったり散歩マップ

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桜が咲き、新緑が芽吹く。新しいことが始まる楽しい季節がやってきました。
街は新生活への期待や希望に満ち溢れ、暖かい日差しと柔らかい風が道ゆく人たちの心を後押ししてくれるよう。
今回はこの4月から新生活への期待と緊張を抱きながら希望を胸にお参りにいらっしゃる皆さまに、いい気が巡ってくるようなおすすめスポットをご紹介いたします。ご紹介するお店は当社の地元・原宿神宮前エリア。どのスポットも神社から徒歩で行けるので、お参りのあとにぜひお立ち寄りください。

*目次*
1, 巻頭インタビュー「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」オーナー壱岐ゆかりさん
2, 個性のある1点を加えてより豊かな生活を「CIBONE」
3, 「HAY TOKYO」好きで満たされた私だけの空間を作る
4, 「UTRECHT」で新しい本との出会いをしよう
5, 「Artek Tokyo Store」で憧れの北欧家具
6, 毎日がアートのある暮らし「H.P.DECO」
7, 「BROWN RICE by NEAL’S YARD REMEDIES」で心も体も美味しいお食事で満たされる
8, LATTEST OMOTESANDO ESPRESSO BAR」に集う温かな時間
9, フレンチポップな可愛い雑貨を「galerie doux dimanche」
10, 自分だけの贅沢なコーヒーブレイクを「KOFFEE MAMEYA」
11, あなただけのブーケを「NUR flower」で

巻頭インタビュー「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」オーナー壱岐ゆかりさん
at 神宮前6-31-10

photo by Hiroko Matsubara

長く寒い冬が終わり、草花が青々と萌え出る季節になった。
街を歩いていると芽吹いたばかりの新緑の間から降り注ぐ木漏れ日がなんとも暖かく、新しい生活の始まりを優しく包んでくれるようで幸せな気持ちになる。
ラフォーレ原宿のある神宮前交差点の裏道、木々が生い茂る一軒家を奥に進むとひっそりと佇むTHE LITTLE SHOP OF FLOWERS。お店には様々なニュアンスの花々が生き生きと並べられている。
2010年代々木上原にある小さな倉庫スペースをからスタートした同店。現在はここ神宮前の店頭での販売を行うほか、展示会や商業施設への装花、また花から色素を抽出して染料にする「colors by flower waste」の活動、仕入れをしている花農家さんへの訪問など、草花の様々な魅力を伝える活動を精力的に行なっている。様々な活動を積極的に行なっている裏側には同店オーナーである壱岐ゆかりさんの草花に対する温かく深い愛情があった。

  • photo by Hiroko Matsubara
―緑が生い茂る小道を入るとお店があるとても素敵な空間ですよね。この場所に引っ越してきたきっかけを教えてください。

元々表参道や渋谷界隈で働いていたので土地勘はなんとなくあるのですが。
このお店の場所はもともと一軒家の日本家屋で昔は大家さんが育ったお家だと聞いています。
この場所にある土も木もずっとこの場所にあるもので、都心でこれだけの場所を守るのは素晴らしいことだなあと思います。
そういう場所から出てくるエネルギーはプライスレスだし、誰かが住んでいるということは、そこに土があって、その上に人や草木が生きているということ。
そういう場所に出会えたキセキは当時感じましたね。そして、花という生物(なまもの)を扱う私たちが、昔から大切に守られてきた場所に“地に足つけて”、街に教えてもらいながらお客さんと一緒に育んでいきたいと思えるようになったのもこの場所だったから芽生えた心だと思っています。

  • photo by Hiroko Matsubara
―生花を扱うだけではなく、その後もドライフラワーや押し花にしたて店頭に出されたり、花の葉や茎などまるごと使い切って染料にされお洋服や小物にされているお花屋さんは珍しいと思います。

花を全て使い切って染料にする「colors by flower waste」の活動を始めたのはお店を営業できない環境になった2020年の春からです。
お店を開けられない代わりに、都内にお花のデリバリーをすることでお客様の暮らしている地域やライフスタイルを配達するたびに見ることができて、より具体的に、どのように花でお客様に提案させていただくといいか?を想像できるようになったことが1つ。
そして配達を1日中こなしている中で、こんなにも閉鎖的な世の中でお花という存在が生活必需であると実感できたことも理由の一つ。
生花としての花だけでない花の効能を活かし、ゴミになる花だと思っていた固定概念を取っ払い、ドライフラワーや押し花にすること以外に染料にしてみようと試みました。
もちろん染料にするためには花・茎・葉などを細かく分別しなければならず、余計に手間がかかります。
でも、染めてみると今まで見ていたお花の色とは想像もつかない色が出てきたり、生花だけ見ていてはわからなかった新しい花の魅力を次々と発見することができました。
お店に並ぶ切り花が一番綺麗な状態だけど、もちろん花は必ず枯れます。
それって人間も同じで、お店に並んでいるのが若い頃の一番綺麗な時だとすれば、その時期はあっという間。歳を重ねるからこその美しさもあるなあと。
人間も植物も寿命がくればいずれは死んで土に還る。染料にする過程はまるで人生を歩んでいく過程を見ているかのようだなあと。

―若い時の輝きは一瞬、草花も人と同じように歳を重ねるごとに本当の美しさが増していくんですね。

花が綺麗というのはある意味で「綺麗でなければならない」と苦しめている気がしていて、花屋としてそれはどうなんだろうとずっとモヤモヤ考えていたんです。
この活動を始めてみて、「生まれて、生きて、死ぬ」という過程をお客様と共有し始めることができた。
それは、ただ「花を売るだけ」=「花屋」ではないという自分たちのこれからの存在意義が少し見えたような気がしています。

―花農家さんを訪問されている活動についても教えてください。

花は綺麗に整えられた状態でお店に並びますが、そもそも草花は出荷される前は自然に土から植っています。
農家さんのところに行くと、花たちがまるでやんちゃな子供のように自由に生えているんです。それを知っているのといないとでは私たちの花に対する心持ちも全然違うんですよね。
お店に並べる際にも、綺麗に整えた状態で並べるよりいろんな長さや形の花をなるべくそのままのバランスで置いてある方が自然で生き生きしていて美しいんです。お花一輪を大事にする思い、自然のままの美しさをお客様に共有することで私たちの自然に対する敬意を自信を持ってそのまま伝えることができる、それが大切なことだと思ってます。

photo by Hiroko Matsubara

―THE LITTLE SHOP OF FLOWERSの居心地のよさと清々しさは、そういう思いがお店の空間づくりに反映されているからなんですね。神社の自然との関わり方に近しいものを感じます。自然との距離感がとても近いということは自分たちが思っている以上に欲していることなのでしょうか?

昨今人との距離を保つことが当たり前な日々になっています。簡単に触れるということができないからこそ“触れる”行為がとても貴重なものになっています。触れられないからこそ想像力が培われているということもあるかもしれません。
植物や自然には制限がなく、手で触れたり直接香りを嗅ぐことができます。そういう機会が貴重になっているからこそ、植物に触れる機会は以前よりも高価な価値になっていると思います。コロナによって、人間にとって花が生活に必要だってことに気付かされたんじゃないかな?実際に花の需要は高まっているのは、そういうことなんだと思います。

―原宿表参道は毎日街を歩いていても街の風景が変わっていく目まぐるしい街ですよね。そういう場所にTHE LITTLE SHOP OF FLOWERSのようなお店があるのはとても貴重だと思います。

新しく建物が建設され街が新しくなっていくことはいいことだけれども、同時に守らなければならないところは守っていきたいと思うのです。
この地域は新しい建物や商業施設が次々と建設されるけれど、昔からあるお家や建物もまだまだありますよね。
土があって虫がいないとあらゆる命は循環していかないし、私たち人間も生きていけない。だからこそ守りたい自然を東京にも残せたらいいなと。
自分の子供にもいい街の風景を残していきたい。きっと子供が今見ているこの街の風景もすぐに変わってしまうと思うけれど、変わっていってしまったとしても、守るべきものを守っていくことの大切さやその心持ちだけでも伝えていく努力を重ねていきたいと思います。

―今後の展望を教えてください。

今は映画のようなありえないことが現実に起こってしまう時代になってしまいました。それでもやっぱり現実の世界ならでは形のない&触れることのできない大切なことに目を向けて育んで生きていきたい。想う気持ち、守りたいという心、毛穴から感じる音など。
花屋として私たちは生物(なまもの)を扱うからこそ、始まりから終わりまで、終わりから始まりまでのような、人生も自然もこの時代に生きて継ぐ生き方をお客様と学び合いながら育んで生きたいと思い日々草花と向き合っています。

生命が巡っていくということ。
花も人間も生き物の巡っていく道のりは皆同じ。この大地の上で生まれ、多くの出会いと別れを繰り返しながら歳を重ねていき、やがて死んでいく。その土地にある土や草木とともに生きている私たちは、この大地の上でそれぞれの人生を紡ぎ、生命を次の世代に繋げていく。繰り返される生命のサイクルの中で、この地に生かされているという感覚をいつまでも大事に持ち続けたい。
生きとし生けるものを母のような温かく深い愛情でそっと包み込んでくれる壱岐さん。その思いがお店にも触れる花々にも溢れているから、私たちはまたTHE LITTLE SHOP OF FLOWERSでその温かみに触れにいきたくなるのかもしれない。

<THE LITTLE SHOP OF FLOWERS>
▷東京都渋谷区神宮前6-31-10 03-5778-3052
▷12:00〜19:00(土曜祝日11:00〜19:00)※木・日曜 定休日
https://store.thelittleshopofflowers.jp/

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